1 任意保険加入率
弁護士法人心東京法律事務所に入所し、交通事故事件に携わってから2か月も経っていないものの、相手方が任意保険に加入していない事件を既に複
・・・(続きはこちら) 1 任意保険加入率
弁護士法人心東京法律事務所に入所し、交通事故事件に携わってから2か月も経っていないものの、相手方が任意保険に加入していない事件を既に複数回目にしました。
調べてみると、任意保険加入率は2025年3月末現在で88.6%*1です。
ご承知のとおり、自賠責保険のみでは損害額を補填するのに心許ありません。
誰しも事故の加害者/被害者になるかもしれない中で、1割強が未加入という現実には不安を覚えます。
今日は、加入者にとっても、任意保険加入の経済的なメリットがあることを公的統計に基づいて確認します。
2 期待値
⑴ 結論
保険金の期待値は1,496円に過ぎない一方、保険料は59,541円/年です。
期待値だけ見れば、確かに、未加入には経済合理性があると言えます。
⑵ 試算
ア 試算前提
・保険料:59,541円/年*2
・保険金:433,650円/件*2
・発生率:0.345%=287,023件/年*3 ÷ 83,184,146台*4
イ 試算
1,496円 = 433,650円 × 0.345%
3 破綻回避
⑴ 結論
しかしながら、万一事故を起こした際に家計が破綻するリスクを回避するためと考えれば、年間6万円弱の出費は、経済合理的な範疇ではないでしょうか。
⑵ 試算
ア 試算前提
・死亡事故1件当たり保険金額:15,433,238円*5
・金融資産保有額:1,329万円(単身)、2,309万円(2人以上世帯)*6
イ 試算
単身 -2,143,238円 = 13,290,000円 -15,433,238円となり、保険未加入なら家計は破綻します。
2人以上世帯 7,656,762円 = 23,090,000円 -15,433,238円となります。
試算上は破綻には至らないものの、資産の66.8%を失う一大事となります。
ウ 高額な認定額の裁判例
過去には、5億2,853万円の損害額が認定された裁判例*7もあり、よほどの資産家でもなければ、家計の破綻は免れないでしょう。
4 まとめ
期待値だけ見れば損に見えるとしても、家計の破綻回避のためと考えれば、任意保険加入には経済合理性があると考えられます。
*1 [損害保険料率算出機構]2025年度自動車保険の概況 第31表
*2 [損害保険料率算出機構]2025年度自動車保険の概況 第13表
*3 [警察庁]R7.12末交通事故の発生状況 表1-1
*4 [国土交通省]R7.12末現在 自動車保有車両数
*5 [損害保険料率算出機構]2025年度自動車保険の概況 第14表
*6 [金融経済教育推進機構]「家計の金融行動に関する世論調査」(2025年)
*7 [損害保険料率算出機構]2025年度自動車保険の概況 第41表